72 樹齢教の旅(2)共和のイチイガシ

 

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ため池の側に車を置いて、山あいの小道を100mばかり歩くと、目の前に突然巨大な木が現れる。四方に枝を伸ばして、力強く立つこのイチイガシは、人を圧倒し、沈黙させる何かをもっている。

この巨木は山口県秋芳町青景にある、胸高直径約3m、高さ31mの、国の天然記念物にも指定されているイチイガシである。『共和のカシの森』と呼ばれているが、森と思うほど大きいという意味で、いかにも長州人らしい命名である。イチイガシは、カシの仲間では最も長大長寿で「大きなカシ」はイチイガシである事が多い。
実際、日本には巨大なイチイガシは多く、単純に大きさを比べると、この木はやっとベストテン・クラスである。しかし、多くは空洞があったり、枝が失われたりで、これほど巨木であるのに、これほど樹勢があるイチイガシは珍しい。西表島から知床半島まで3年間に渡って、木と森林を見て回った、確かな仕事のジャ−ナリスト阿部幹雄(「祈りの木」飛鳥新社)によると
『日本で最も姿が美しい巨大なイチイガシ』であるらしい。

三方を山に囲まれたほの暗い斜面にある、このイチイガシの根元には、今はすっかり幹に抱かれて中に埋没してしまった、地蔵尊らしい石板が覗いている。山の幸と安全をこの木に祈り、あるいは、昔この木の下を通ると「怪しの者」が現れて、相撲をせがんだという話や、蛇に関わる伝説など様々な逸話が残され、人々がこの木と深く関わってきた事を伺わせる。沈黙のまま、見上げると自ずと樹齢が伝わってくる。まさに、樹齢教第一等の聖地である。

 

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