1475 ツルマンリョウ
| それはず〜っと昔の、わたしが学生だった頃の事ですが。3月には天草の臨海実験所で実習があることになっていました。海の貝の分類です。当時東京国立科学博物館に勤務されていた波部忠重先生に教えて貰いました。 ひょろっと背が高く、いつもニコニコ、田舎風の(すみません)優しい初老の先生でした。私たち学生の常としてやる気がない上に、3月の海は一番冷たい頃。 東京の博物館ではデスク仕事ばかりで外に出る機会が少なく 『こうやって毎年天草に来るの楽しみにしてるんだよ〜』 先生僕ら全然楽しくありません。早く帰りましょ。 10日間の実習でしたが、一緒に晩ご飯を食べながら、『戦争中はね〜 今西錦司のお供でモンゴルへも行ったこともあってね〜今西先生はね〜』というようなお話を聞いていると、この先生はものすごく偉い先生かもしれないぞと、だんだん分かってきました。実際ものすごく偉い先生です。 これが何という生物で、どこでどう暮らしているか、というような事を分類学と言います。が、日本では職業としてほとんど成り立っていません。生物を集め、名前を調べ、整理し、保管していくには膨大な時間と労力と、そしてお金がかかります。 分類学の世界(職業としての業界)はお先真っ暗。ごく少数の人が支えています。なお、昭和天皇はクラゲの仲間の世界的権威として有名だったし、今の天皇陛下も魚の分類学では第一人者です。人工衛星一個分くらいでいいから、この方面の事業に投資したら、日本も文化国家の仲間入りができると思うんですが・・・ しかし、明るい話題もあります。ごく少数の専門家だけが、専門的な雑誌で情報を交換してが、インタ−ネットの発達で、情報が行き渡り、どこに何があるか=分布 がどんどん分かってきそうになっていることです。 数人の専門家が日本全土を一生をかけて歩き廻っても、発見できることはごく僅かです。見つける事くらいなら、素人にできます。と、いうことですネ。 なお、前置きが長い時は本編に内容がなく、昔の事を書くのは歳をとった証拠であることを、述べて本編にうつります。 |
| このお正月、特にすることも無かったで、ツルマンリョウを見に行きました。奈良、広島、山口県、鹿児島の、数カ所づつでしか見つかってない大変珍しい植物で、奈良と山口では、国の天然記念物になっています。 沖縄や、台湾にもあるので南方系の植物のようです。シイやサカキがある照葉樹林の林床に生えていて、あまり日当たりよくてもダメで、こんな風に弱い光が一日のうち少し当たる場所にしかないらしく、気むずかしい植物のようです。 が、奈良、山口、鹿児島と飛び飛びにあるのが不思議です。照葉樹林は原生林的な性格があるので、かつては奈良辺りまでどこにもあったのに、森に人の手が加わり消滅していったに違いありません。 |

| 花が咲いて、冬に紅い実がなりますが、種では増えません。枝が蔓のように伸びて、増えていきます。微妙な場所にあって、種で拡がっていかないので、一度絶えると復活は難しそうです。私が行った場所では ↓ くらいの小さな群れが2つだけありました。 |

| 薄暗い照葉樹林の林床にあって、あまり目立ちません。毎日野鳥を観察してる人は〜10万人くらいはいそうですが、こんな植物に関心を持って探す人はほとんどいないはず。あるかもしれんと思って探すと意外といろいろな場所にあるはずです。 山口県では2ヶ所にしか無いことになっていましたが、最近ネットをウロウロしていたら、第三の場所発見!のブログを発見しました。頑張るともっと見つかりそうな、ツルマンリョウです。みんな頑張りましょう。 |